自律神経失調性やうつ病やパニック障害など自律神経が関る疾患の原因は
特に精神的ストレスです。
しかし同じようにストレスを受けても調子を崩す方とそうでない方がいます。
その違いは一体何か?
それはストレスの受け止め方の違いです。
もうひとつの違いははストレスに対抗する4つの体力ですが
4つの体力に関しての説明は別の記事に移るとして、
ここでは「ストレスの受け止め方」についてお話します。
それはストレスをうまくかわせる考え方をしているか、
それともストレスをさらに高める考え方をしているかです。
この2つでは自律神経に及ぼすダメージが全然違います。
あなたはストレスを感じやすいでしょうか?
ストレスを感じやすい方は考え方のクセを持っている場合があります。
このクセがストレスの受け止め方を分けてしまうのです。
認知の歪みという考え方のクセ
考え方のクセは「認知の歪み」と呼ばれ以下の10種類が定義されています。
自律神経を破綻させる思考のクセを一緒に見つけ出し、改善していきましょう。
全か無かの思考
全てを白か黒に分けるような極端な考え方です。
中間が無く全てを0か100、◯☓思考で考えてしまいます。
非現実的な完璧主義や強い自尊心に根ざしている場合があります。
全か無か思考は自分が思い描く理想の人生像のレールから少しでも外れることを極端に恐れる完璧主義の心理が根底にあります。
そのため少しでも失敗や軌道から外れる事があると深刻に受け止めてしまいます。
よくある例⇒就活に失敗し「もう人間としての価値がない」など
一般化のしすぎ
なにか悪いことが起こった時に、きっとまた起こるに違いない、
必ず起こる運命だなどと一般化して考えてしまうことです。
一度でも不運があると人生の全てが不運であるように決めつけてしまいます。
未来の可能性を自分自身で無視して捨ててしまう事になります。
「また起こるのではないか」と考えることは誰にでもありますが、
それをなんに対しても考えてしまうと苦しんでしまいます。
よくある例⇒いじめの経験があり、環境が変わっても「きっとまたいじめられるに違いない」と根拠なく思い込んでしまうなど。
心のフィルター
いつもネガティブに考えてしまい、常にマイナスのフィルターで世の中を見てしまうこと。
世界のあらゆる出来事や娯楽に興味がなくなり何もしたくなくなるのはうつ病のフィルターの影響です。
よくある例⇒ニュースを見るたびに「世の中どんどん悪くなる」
マイナス化思考
何でも無いことや良いことでも、悪いことにすり替えてしまうこと。
よくある例⇒実力で結果を出したのに「これは偶然だ」と良い点を無視して、マイナスの信念を持って捉えてしまうなど。
マイナス化思考は他人のせっかくのの心からの誠意や愛情、思いやりを全て台無しにしてしまいます。
さらに自分の人生の幸福や満足感、達成感さえも虚無的な味気のない出来事に変えてしまいます。
結論の飛躍
事実と違うのに悲観的な結論に飛躍してしまうこと。
思いこみの感情や誤った固定観念、独断的な判断を元に、現実とは違う悲観的で絶望的な結論を出してしまいます。
2種類のパターンがあります。
心の読みすぎ
人の言葉や態度を勘ぐり、、悪い方に深読みしてしまうこと。
心の読み過ぎに深くハマってしまうと被害妄想が強くなり、
人間不信や人間嫌いといった非社会的な状態になってしまいます。
集団活動への適応が傷害され、大切な恋人や友人との関係が悪くなり孤立してしまったりします。
よくある例⇒褒められたのに「本当は内心バカにした嫌味だろ」「お世辞やな。何か企んでるな」と悪い風に考えてしまうこと。
先読みの誤り
これから起こることが不幸ばかりと思いこんでしまう事。
疎遠になっていく対人関係の行く末にも先読みの誤りが大きく関与していると考えられています。
よくある例⇒「失敗ばかりの自分は将来も必ず失敗するだろう。」など。
拡大解釈と過小評価
悪い面ばかり大きく捉え良い面を評価しないこと。
これを改善しないとどれだけ努力をして成果を出したとしても、
心の底から喜びや充足感を感じることが出来ないことになり必要以上に自分を責めたり、自暴自棄になったりします。
よくある例⇒テストで90点取ったのに僅か10点のミスばかり気にする、治療していて回復してる部分があるのにどこも良くなっていないと考えるなど。
感情的決めつけ
感じていることが全て真実であると感じてしまうこと。
自分の思い込みで勝手に否定的な決めつけをしてしまいます。
うつ病の症状として現れる「感情の決めつけ」の認知の歪みは
「私はこれから回復していく希望が持てない。だから私は永遠に良くならない」などの形となって現れます。
物事の真偽判断が自分の感情の基準でなされてしまう認知の歪みです。
よくある例⇒「無視されてる気がするので絶対そうだ。気のせいではない。」など
〇〇すべき思考
「~しなければならない。」「~すべきである」と考えて追い込んでしまうこと。
的外れな自己批判をしてしまい、本来感じる必要もない無力感や敗北感、、自己嫌悪による憂うつ感を感じてしまいます。
これが他者に向かうと対人関係にも支障が出ます。
相手に対し過剰な失望や絶望を感じ怒りや恨みを感じてしまったりします。
よくある例⇒規則でがんじがらめにしてしまうなど。「風邪くらいで休むべきではない」など。
レッテル貼り
根拠もないのに、ネガティブなレッテルを貼ってしまうことです。
1つのことでその人そのものを判断してしまうクセです。
自分に貼るレッテルは自己破壊的で抑うつ感を誘発する無意味なものであり
他者に貼るレッテルは必要のない反発や敵意を生み出します。
この考え方をしていると他人の欠点を1つ見つけるとその人すべてが嫌になってしまうなど、
コミュニケーションにも支障が出たりします。
よくある例⇒たった一つのミスで無能だと決めつけたりするなど。
個人化・自罰的思考
悪いことが起こった時何でも自分のせいにしてしまうこと。
過度に責任を負ってしまいます。
この逆が「あの人のせいだ」という考え方です。
よくある例⇒グループでの仕事が失敗した時「自分のせい」と自分だけの責任のように感じたりするなど。
自律神経を乱す思考のクセを直すには
前半で受け止め方について、後半ではカラダからの影響についてお話します。
思考のクセを把握する
自分のクセを直すには、まず自分の考え方のクセを把握することが必要です。
方法は、不快な気持ちになった時、その直前に何を考えていたのか考えるのです。
感情は思考の後に起こります。
怒りでも悲しみでも、その直前に何かを考えています。
直前の思考を上記の10のパターンにあてはめてみて、
例えば「全か無かの思考」をしていたなら、一呼吸置いて、
0か100以外に中間の可能性はないか探ってみるなどをしてみます。
練習が必要になりますが訓練することで、反射的にしていた思考法が柔軟になり、嫌な感情がついてこなくなります。
反応を先に決める
これは自分の考え方のクセが反射的に出ないように、あらかじめ反応のパターンを決めておくというテクニックです。
例えば、人に見られると馬鹿にされているような気がしたり、気持ち悪がられているような気がしたりするとします。
これは上記10パターンの認知の歪みのうち
「心の読みすぎ」
「感情的決めつけ」に当てはまります。
この嫌な感情を湧き起こす認知の歪みをかわすのが反応を決めておくというテクニックです。
人に見られている
↓
こっちを見ているということは
きっと私に気持ち悪い所があるからに違いない(心の読みすぎ)
馬鹿にされてるきがする。だからきっとそうなのだ(感情的決めつけ)
↓
嫌な気分になる。
というのが現在の反応パターンです。
この真中の部分をあらかじめ自分で作って決めておくのです。
要するに、人に見られている気がしたら、「こうしよう」というのを準備しておくのです。
今回の例だと
人に見られている
↓
こっちを見ているように見えるけど視線は別方向を見ている。目が悪くてまず見えていない。
見ていないのだから自分の事を何も思っていない。
という風に考えるように予め決めておきます。
もちろん長い間持ち続けてきた思考のクセですので上手く行かないときもあります。
しかしこれをうまく実践できた時、不快な感情がやってこないことを実感します。
この小さな積み重ねが安心感を生み思考のクセを変えることに繋がります。
感情を変える為に必要なもう一つのこと
うつや自律神経失調性などストレスの受け取り方が大きく影響する疾患でも
カラダの状態が強く影響し原因となっていることもあります。
心を変えるためにはカラダを変える必要があります。
うつになる方の特徴
ストレスはカラダに下記のような緊張状態を作り
エネルギープロセスを低下させます。
またそのような緊張状態のカラダは、うつの原因にもなります。
筋肉の緊張
ストレスを感じることで交感神経が高まり筋肉が緊張します。
また抑うつ傾向の方は感情を押さえ込むため、力が入り筋肉を固くしてしまいます。
また慢性的な筋肉の緊張は、置かれている状況が危険であると脳に信号を送ってしまいます。
すると脳は防衛反応として不安を感じます。それが続くとうつに影響していくのです。
頭蓋筋膜の緊張
ストレスは頭の筋膜を緊張させてしまいます。
頭の筋膜の緊張が更なるストレスを生み出すという悪循環になります。
また頭蓋筋膜や頭皮は自律神経と密接に関係しています。
東洋医学でもいくつもの経絡(ルート)が頭を通っています。
頭に血が昇るという言葉がありますが、これはこの経絡を通って熱が頭に昇る事を指しています。
頭に緊張があるとうつや自律神経失調症になりやすいのです。
そして300以上ある全身のツボのうち70以上が頭にあるため、
当院では頭蓋筋膜への鍼を行い、自律神経を安定に導きます。
お腹の緊張(内臓)
ストレスを感じると呼吸も浅くなり横隔膜付近の肋骨とお腹の境目あたりが緊張してきます。
その緊張はお腹全域にも波及します。
人によってはお腹が張ると表現したりする方もいます。
当然内臓の働きも低下し、カラダにエネルギーを送る力が落ちます。
東洋医学でも胃腸を重要視し、お腹の硬さを見て漢方を処方したりします。
2000年前から、ストレスが胃腸の機能を低下させ全身の不調を引き起こすことが
東洋医学では指摘されてきました。
また内臓は食べ物の消化だけでなく、溜まった感情の浄化にも影響しています。
これは、東洋医学で心身一如と言います。
また最近の心理学でもこの事が指摘されるようになり、
心理的な腸蠕動運動と呼ばれています。
お腹の緊張、内臓の動きの悪さは、うつの原因にもなります。
気逆という状態
気逆というのは
本来、下半身に降りていなければいけない気(エネルギー)や熱が、
カラダの上の方、つまり顔や頭に上ってしまっている状態を言います。
これは血液やリンパ液などの流れが悪くなっていて、上部に溜まり滞っている状態です。
症状としては顔のほてりやのぼせ
頭が重い、痛い
顔や頭に汗をかく
考えが堂々巡りになる
ネガティブ思考になる
イライラする
落ち着きが無くなる
動悸がする
ノドに何かが詰まるような違和感(ヒステリー球)
息が苦しくなる
手足が冷える
顔は暑いのに足先が冷える
足がムズムズする
などです。
これらは(気)エネルギーや熱を下半身にしっかり留めておく力が無くなった為、
上に上がってくるのです。
気逆について
このエネルギー(気)を下半身に留めておく力が
呼吸 思考 意識なのです。
呼吸
生命エネルギーの元である酸素をしっかり取り込む為には、
横隔膜による深い腹式呼吸が必要です。
深い呼吸をすると横隔膜は、かなり下の方にまで沈み込みます。
その為カラダのイメージとしては骨盤付近にまで大気が降りていくような感覚になります。
自律神経が落ち着き下半身にしっかりとエネルギーが循環します。
これが浅い呼吸だと胸の上の方でだけピクピク動くのみでしっかり酸素も取り込めません。
また横隔膜もしっかり動かない為、カラダの感覚も上の方に集中し気(エネルギー)も上がりやすくなります。
思考
頭であれこれ考えたり、イライラすると脳は酸素も糖分もたくさん使います。
すると頭に気や熱が上がりやすくなり、気逆の状態になります。
頭でのエネルギーや栄養の循環が悪くなると、カラダの機能に異常を来します。
考え過ぎやイライラで気逆の状態になり、自律神経を乱しうつになっていくのです。
意識
意識もカラダの上の方にあるとエネルギーも上に向かい気逆になりやすいのです。
人は意識が上の方に行きやすくなっています。
あなたも普段、足の裏よりも上半身、
とくに顔の周辺に意識を感じる事の方が多いのでは無いでしょうか?
これは脳が上にあるから仕方の無いことなのです。
脳は最も大切な部位ですので、
それを守るために、神経が張り巡らされ周辺の感覚はとても敏感になっています。
ですので、どうしても意識は顔周りに集まりやすいのです。
これは防御反応であり、ストレスを感じているときと同様に
交感神経の緊張状態と同じです。
危険を感じた時はストレスが高まり、
交感神経が緊張し意識も脳のある体の上部に集まります。
ケンカなら無意識に頭部を守るポーズを取ってしまうでしょう。
これと同じで意識が上の方にあるとそれだけで交感神経が緊張気味になってしまうのです。
緊張状態が脳にストレスと感じさせ心身の不調につながるのです。
(合気道や座禅などでおへその下の丹田に意識を下ろすトレーニングをするのはこの為です。)
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