むずむず脚症候群は(Restless Legs Syndrome=RLS)、皮膚表面ではなく、足の内部に異常に深いな感覚を感じる疾患です。
むずむず脚症候群とは
文字通り「むずむずする」「虫が這うようだ」「足がちりちり火照る」など表現は様々です。
症状が起きると、足を刺激したり、寝返りをなどで不快感をまぎらわせようとしますが重症になるとじっとできず、非常に苦しい思いをします。
むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて症状が現れることが多いので、不眠症を併発している方が多いです。
「入眠困難」「中途覚醒」「熟眠障害」などの睡眠障害のせいで、昼間に眠くなり仕事や日常生活に支障をきたします。
症状がさらに悪化すると不眠と症状のストレスから自律神経がさらに乱れ「うつ病」や「パニック障害」などメンタル症状を引き起こしてしまいます。
また妊娠中の女性の2割くらいにも見られます(ほとんど授乳期間が終わるまでには自然消失)
むずむず脚症候群の症状
まとめると主に
①足の不快なむずむずした異常感覚により足を動かしたくなりがまんできない。
②静かに横になったり座ったりしている状態でむずむず脚症候群の症状が現れる。
③歩いたり足を伸ばすなどの運動で症状が改善する。
④日中より夕方・夜間に症状が出現、悪化する。
DSM-5分類では、むずむず脚症候群は睡眠―覚醒障害群に分類されています。
DSM-5分類によると以下のようになります。
A. 脚を動かしたいという強い欲求は、通常、落ち着かない不快な下肢の感覚を伴い
またはそれに反応しており、以下の特徴のすべてを有している。
• 脚を動かしたいという強い欲求は、安静時または低活動時に始まるか、増悪する。
• 脚を動かしたいという強い欲求は、運動することで、部分的または完全に改善する。
• 脚を動かしたいという強い欲求は、⽇中より⼣⽅または夜間に増悪するか、または夕⽅または夜間にしか⽣じない。
B. 基準Aの症状は週 3 回以上⽣じ、その状態が 3 カ⽉以上続いている。
C. 基準Aの症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、教育的、学業的、⾏動的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D. 基準Aの症状は、他の精神疾患または他の医学的疾患(例:関節炎、下肢の浮腫、末梢虚⾎、下肢けいれん)によるものではなく、
⾏動的障害(例:姿勢による不快感、貧乏揺すり)では説明できない。
E. その症状は、乱⽤薬物または医薬品の⽣理学的影響(例:アカシジア)によるものではない。
アカシジアやADHDの多動性などの症状と似ている為本人もよくわからないのが現状ですので専門機関への相談が必要です。
むずむず脚症候群の好発年齢と性差
好発年齢は10〜20 代が多いと言われています。
成⼈になってむずむず脚症候群診断された⼈の約 40%が10代の頃に症状を経験したことがあるという調査報告があり、
20%は10歳前に経験したとあります。
発症する率は全体の2〜7. 2%とされています。
むずむず脚症状が現れる頻度が週 3 回以上、中度から重度の苦痛の場合は 1.6%、症状の頻度が週 1 回以上とした有病率は 4.5%となっています。
60 歳頃までは加齢と共に有病率が上がるとされています。また⼥性の方が男性よりも 1.5〜2 倍とされています。
むずむず脚症候群の原因
西洋医学的には正確な原因はまだ解明されておらず神経伝達物質であるドーパミンの機能低下、
中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常、脊髄や末梢神経の異常という説などがあります。
神経での情報の受け渡しを⾏うドーパミンは鉄分が不⾜すると分泌量が減るため情報を正しく伝えることができなくなってしまう事で
脳への情報が誤って伝えられてしまい、異常な感覚を感じるという仮説です。
また線維筋痛症、関節リウマチ、糖尿病、甲状腺疾患、COPD との関連も指摘されています。
また周期性四肢運動障害(PLMD)とむずむず脚症候群(RLS)は密接な関係があると考えられています。
原因もおなじであり疾患カテゴリーも同じと考えられています。
むずむず脚症候群の方の約80%に睡眠時の周期性四肢運動(PLMS:Periodic Limb Movements in Sleep)が確認されています。
睡眠中に足首の関節をピクピクと背屈させるような動きを周期的に繰り返す運動で、その回数が多くなり
そのせいで覚醒してしまい睡眠の質を低下させ熟睡感がなくなりや昼間に眠たくなるなどの症状が出ると
周期性四肢運動障害(PLMD:Periodic Limb Movement Disorder)と診断されます。
東洋医学的にはこの症状は内熱、つまり熱が体にをこもった状態で起こると考えます。
足に熱がこもってむずむずするのです。
東洋医学ではこれを煩躁といい体の水分、陰の働きが弱まる事で体の陽の性質が高まり熱がこもると考えます。
ストレスや心労、精神疲労で自律神経が乱れ興奮が高まる事で陰の働きが効かなくなり熱がどんどん生み出されてくるのです。
これを陰虚内熱と言ったりします。
西洋医学はこれら症状のひとつひとつに病名をつけるているので全く別ものに感じてしまいますが、根本は陰虚内熱という根っこは同じです。
陰虚内熱という森の中に、むずむず脚症候群や不眠、乾きなどの木がそれぞれあるといったイメージです。
むずむず脚症候群の治療
病因での対処、セルフケア、鍼灸による対処です。
病院でのむずむず脚症候群の対処
主に薬物療法です。
睡眠薬は効かず(サイレースなどの睡眠導⼊剤や抗うつ薬を使用すると、むずむず感が解消されないのに眠気だけ強くなりRLS の症状を悪化させる可能性があるという指摘もあります)
薬剤はパーキンソン病の治療に使うドパミン作動薬が効果的と考えられています。
プラミペキソール(商品名:ビ・シフロール)
ロチゴチン(商品名:ニュープロパッチ)
ガバペンチンエナカルビル(商品名:レグナイト)
⽇本では抗てんかん薬(クロナゼパム・バルプロ酸など)も効果が⾒られます。
⾎中フェリチン濃度が 50ng/ml 以下の時には、鉄剤の処⽅によりむずむず脚症状が改善することがあります。
むずむず脚症候群のセルフケア
寝る前にカフェインやアルコール、喫煙を避ける事。これらはむずむず脚症候群の症状を悪化させせてしまうからです。
脚のセルフマッサージや軽い運動(強いと悪化することも)をしたり不快になる場所を温めたり冷やしたりすることも効果的と考えられています。
鍼灸によるむずむず脚症候群の対処
むずむず脚症候群は上記の通り、東洋医学では陰虚内熱の状態が原因と考えますので
体の内にこもった熱を鍼を打つことでさばいていきます。
熱がこもるのは自律神経が乱れ興奮、覚醒が続いてしまうせいなので鍼によって自律神経を整え興奮を鎮め熱を冷ましていきます。
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