自律神経失調症でよく見られるのぼせやほてりについての解説です。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュとは
のぼせは顔や頭などの上半身が熱くなりカーッと頭に血がのぼる感覚の事を言います。
また冷えのぼせとして下半身は冷えを感じる方もいます。更年期障害の症状として有名ですが、自律神経失調症、パニック障害、鬱病などでも同じように症状が出る方がいます。
更年期障害も含めてのぼせ、ほてりは自律神経の症状だからです。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの症状
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュは顔や頭など上半身が突然熱くなったり頭に血がのぼった感覚になります。
症状は、2~4分間持続する熱感や発汗を感じ、血圧変動はないままドキドキと脈拍が強くなる事もあります。
ほてりの範囲は顔から始まり頭や胸に広がっていく事が多いです。顔のみのほてりやのぼせ、発汗の場合もあります。
・突然カーっと熱くなる
・急に顔が紅潮
・ドキドキする
・汗が止まらないなどです。
また人によって下半身が冷えて、冷えのぼせとして体感される方もいます。
自律神経失調症やパニック障害などで状態が悪い方は、めまいや吐き気、頭重感なども伴う事があります。
顔面から始まり、全身に広がります。長いと、1時間程度症状が持続することもあります。
中には実際に微熱が一日中続く方もいます。膠原病など隠れた疾患が無い場合、ストレスや自律神経の乱れにやる自律神経失調症であることが多いです。
更年期障害と診断される方の場合は閉経前から症状が出始めます。
若い方でも自律神経失調症やパニック障害、鬱病自然閉経や卵巣摘出を受けた方を中心に女性の6割が症状を感じ、生活に影響がでるのはその中の1割程度とされています。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの原因
年齢に関係なく基礎的な疾患が無い場合心理的ストレスによる自律神経の乱れが原因となっている事が多いです。
のぼせ、ほてりは末梢の血管の拡張と収縮をコントロールしている自律神経の乱れ、機能失調が原因と考えられています。
これは自律神経失調症を筆頭にパニック障害や鬱病でも見られます。代表的な更年期障害の症状の場合でもホルモンの関係から自律神経が乱れるので同じです。
更年期障害について言えば更年期自体女性にとってストレスがとても多い時期ですので、心理的なストレスと卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン)分泌の急激な低下とが同時に起こり、脳の視床下部という自律神経中枢にある体温調節の機能が乱れのぼせ、ほてりなどが現れるのです。
更年期ののぼせにはエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)だけでなく、自律神経調整剤や向精神薬が処方される事を見ても更年期障害が自律神経失調症であるとも言えます。
心理的ストレスが大きな原因となるためのぼせ、ほてりに対しては精神薬だけでなく精神療法を含めた抗ストレス療法が必要と考えられています。
東洋医学的にはストレスを受けると全身を循環する気や循環が停滞すると考え、それによって上から下へ巡る気と熱の流れが逆流する事がのぼせ、ほてりの原因と考えられています。
これを気の上衝、気逆、上逆と言います。
また風呂上りや暖かい部屋でのドライヤーの使用などが発作の引き金となることもあります。これはパニック障害の方にたまに見られます。
のぼせやすさに影響するライフスタイルとしてはストレス、運動不足で便秘がち、偏食や過食(肉類)刺激物(香辛料、アルコール類)を多く取っているなどもあります。
また冷えのぼせは冷え症の重度の状態と考えます。冷え症は温度差が大きい環境で体を冷やすことが影響して起こり典型的な症状が生理痛です。
まず血行不良が起こり、静脈のうっ血やリンパ管のうっ滞が起こりそれによって体の先の方からむくみます。この状態は水分代謝異常です。その時、体は本能的に手先や足先などの末端の体温を下げてでも頭の温度が下がらないようにします。
そのため血行不良→水分代謝異常→と冷えが続いていくと、頭が熱くなり、手先や足先との温度差が広がり冷えのぼせと感じます。
身体の中では自律神経(交感神経と副交感神経)が過剰に働いていますので自律神経失調症としての冷えと考えます。
冷えのぼせは、血行不良がありますので生理痛、PMSなども悪化しその他の様々な症状が現れます。
また冷えのぼせは、単純な冷え症に比べメンタルの症状、睡眠の障害が現れる事が多いです。
冷えのぼせの根本の原因である自律神経の乱れを改善しなくては良くなりません。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの自律神経やメンタルへの影響
のぼせやほてりは気分や睡眠の状態に影響します。のぼせ、ほてりの原因になっている自律神経の乱れが、メンタルや睡眠の乱れにも繋がっているからです。
頭に熱がこもることで覚醒状態が続くため、夜に覚醒が止まらず自律神経の交感神経と副交感神経の切替がスムーズに出来なくなり、寝つきが悪くなり不眠になります。
また覚醒から過敏状態に発展しメンタルが疲弊していきます。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュで注意する疾患
のぼせ、ほてりの背後に疾患が隠れていないかは病院で必ず確認する必要があります。
高血圧、動脈硬化、糖尿病、熱中症や甲状腺機能亢進症、膠原病などの疾患がかくれている場合は、その疾患自体の治療も行う必要があるので病院での検査は必ず受けるべきでしょう。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの対策とセルフケア
ホルモン以外の原因を探り、それを回避する事です。
着るものの通気性を良くしたり吸湿性が高い木綿のゆったりした洋服を選んだり、室内の換気を促したり、体に熱がこもらない環境を整えましょう。
また一番はリラックスの時間を作り心理的要因となるストレスを取り除く事が大切です。
ホットフラッシュやのぼせが出てしまったときは、腹式呼吸による深呼吸で呼吸を整え心と自律神経を鎮静化する様にしましょう。
また、辛い食べ物や刺激物も控える方が良いです。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュに対する対処
心理的ストレスが大きな原因ですので、のぼせ、ほてりに対して精神薬だけではなく精神療法や抗ストレス療法が必要と考えられています。
抗ストレス療法としては鍼灸や漢方など東洋医学が有効と考えられています。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの病院での対応
「HRT」(ホルモン補充療法)、精神症状を抑える抗うつ薬、抗不安薬等が処方されることが多いです。
睡眠状態が悪いと熱がこもりやすいため睡眠薬の処方がある場合もあります。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュと薬の副作用
鬱病、パニック障害の記事でも書きましたが抗うつ薬、抗不安薬にはめまいなど副作用があります。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュの間違った施術
効果が無く危険である頸椎矯正などは厚生労働省からも注意喚起が促されている危険な手技です。
自律神経の乱れが原因ですので骨の歪みや骨盤の歪みや姿勢などは関係あります。
のぼせ、ほてり、ホットフラッシュに使われる漢方
気逆、上逆を押える加味逍遥散や女神散。 血の循環が滞った瘀血という状態に対しての駆瘀血剤、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、桃核承気湯などが処方されることがよく見られます。
鍼灸の補助として有効と考えています。
鍼灸によるのぼせ、ほてり、ホットフラッシュに対する対処
鍼灸は自律神経に直接作用し興奮を抑え、上にこもった熱を引き下げてくれます。
鍼灸は覚醒を抑えるので睡眠が深くなり夜間の熱が下がり体を修復させ自己治癒力が高まります。
その自己治癒力が熱がこもったとしても自力で発散できる身体の循環を作っていくのです。
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